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人妻風俗を満喫する方法

第3回 2010.08.16

「色男」になりたい!

なぜだか不意にそう思い立った私、村上龍之介。

ところで「色男」って何?
勝手に女が寄ってくる男? モテてモテてしょうがない男? 狙った女性を必ずものにする男?

いや、これはあくまでも表層であって、色男の本質ではないな。

じゃあ、色男の本質とは?
ただそこにいるだけで、すべての女性を惹き付け、心から惚れさせる男。
見た目のカッコよさと、内面のカッコよさを持ち合わせる、本当にカッコいい男。

こんな感じか。

さて、どうすればそんな色男になれる? 待てよ、そもそも色男になろうとすることすらカッコ悪いんじゃないか?

さまよい続ける私がたどり着いたのは、古今東西の色男たちからエッセンスを学ぶ旅路でした。こうして私は「“色男”への道」を歩き始めることになったのです。

「“色男”への道」 第2章「女と自由を愛する無垢な男 ジャコモ・カサノヴァ」

前回ご登場いただいたボー・ブランメル師匠は、己を貫き通した見事なまでのダンディではありましたが、女性との浮いた話がないのが実に残念でございました。せっかく色男を目指すのならば、やっぱりあちらのほうも充実させたいというのが、俗物の権化・村上龍之介の本音でございます。

そこで今回は、数え切れない女性とベッドをともにしたバリバリのプレイボーイにご登場いただきましょう。その名はジャコモ・カサノヴァ(1725−1798)。ドン・ファンとならび、プレイボーイの代名詞として今なおその名が語り継がれる巨星です。ドン・ファンが(モデルがいるらしいとはいえ)ほぼ伝説上の人物であるのに対し、カサノヴァは紛れもない実在の人物。しかも彼の女性遍歴は書物にしっかりと記録されているのです。著者はほかならぬカサノヴァ本人。その自伝『Histoire de Ma Vie』(我が生涯の物語)は公序良俗を乱す内容ゆえ、カサノヴァの死後のなかなか日の目を見ず、刊行後も作り話ではないかと疑われたものの、のちの研究者たちによってほぼ事実であることが明らかになっています。わが国では『カザノヴァ回想録』というタイトルで幾度か発行されており、その分量は文庫本12巻(窪田般彌訳・河出文庫版の場合)にも及びます。

ではカサノヴァの華麗なる女性遍歴を、ほんの一部ですが垣間見ることにいたしましょう。

ジャコモ・カサノヴァは1725年にベネチアで生まれました。初恋は9歳のとき。相手は4つ年上のベッチーナ。まだ純情だったカサノヴァ少年は、彼女に誘われ、嫉妬させられ、泣かれ、欲情させられ、逃げられ……と、さんざん心をもてあそばれたあげく何も満たしてもらえないという惨憺たる恋愛を経験します。しかし、このとき目の当たりした、なんともいえない女性の魔力は、カサノヴァの意識に深く刷り込まれたことでしょう。

17歳となったカサノヴァは可憐な少女・ルチアと恋に落ちますが、結局これも手を出さずじまい。のちに彼女はとある悪党に騙され駆け落ちしてしまい、カサノヴァは「女性に対して遠慮しすぎたりしてはいけない」という教訓を得るのです。

初めての体験はその年の冬。「もう遠慮はしない」と決めたカサノヴァがターゲットにしたのはナネッタとマルトンの姉妹。大胆にも2人同時に狙いを定め、立て続けにモノにしてしまいます。初体験からしてこれなのですから、さすがカサノヴァ恐るべしですね。しかも「2人組の女性は1人落とせばもう1人も落ちる」という、のちに何度も使うことになる必殺テクニックも習得してしまいました。

性愛に目覚めたカサノヴァは、以後、次から次へと女性と交わっていきます。足止めを食らった検疫所で出会ったギリシャの女奴隷とは彼女の所有者の目を盗んでバルコニーで求め合い、弁護士の妻・ルクレチアとは家族ぐるみで行ったピクニック帰りにあわただしく馬車の中で楽しみ、去勢歌手のふりをしていたベッリーノを鋭く女性だと見抜いて口説き落とし、旅の道中で出会ったわけありげな娘・アンリエッタとは3ヶ月という短くも激しい愛の日々を過ごし、ベネチアでは尼僧と罰当たりな悦楽にふけり、ルクレチアが産んでいた自分の娘・レオニルダとはますますもって罰当たりな……、と記録に残っているだけでも百数十人もの女性と関係を持ったといわれています。

190センチと背は高く、肌は浅黒くセクシーで、目鼻立ちのはっきりしたマスクの持ち主であるカサノヴァですが、彼には見た目以外にも数多くの武器がありました。たとえば、豊富な読書体験によって培われた教養、人々を魅了する話術の才能、身の破滅をも恐れない大胆な行動力などです。

そういえば、カサノヴァの職業をまだご紹介していませんでしたね。主に冒険家、作家と紹介されているカサノヴァですが、基本的には山師、ペテン師の類だと思っていただいていいでしょう。有力者に気に入られてパトロンになってもらったり、ハッタリの数秘術で金を集めたり、イカサマ賭博で儲けたりと、なかなかに行き当たりばったりの根無し草ライフを満喫していたようです。有力者の愛人との情交や魔術の濫用などが原因で、たびたび追放や投獄の憂き目にも会っていたカサノヴァですが、脱出不可能といわれた通称「鉛の監獄」を見事に脱獄するというルパン3世も真っ青の離れ業を成し遂げたりもしています。そんな日々を支えていたの彼の教養、話術、行動力は、女性を魅了するのにも一役買ったことでしょう。

もちろん女性を悦ばせるテクニックも忘れてはいけません。カサノヴァはこう言っています。「私にとって享楽の5分の4は、女性を幸福にする点にあるのだ」と。女性を悦ばせることが、カサノヴァ自身の快楽でもあったわけです。もう1人の巨星ドン・ファンが、女性をいたぶり辱めることに快感を覚えていたのとは対照的です。

カサノヴァはこれだけの女性と関係を持ちながら、ついに結婚することはありませんでした。何人かの女性とは結婚の約束まではするのですが、その約束が実ることはありませんでした。原因の多くは自由を愛し束縛を嫌うカサノヴァにありました。しかし、女性たちはカサノヴァをまったく恨まないどころか、別れ際に資金援助を申し出たりするのです。そして再会した暁には、また激しく愛し合ったりするのです。異常なまでの愛されっぷりではないですか? これは、彼のルックスや、ペテン師的才能や、ベッドテクニックだけでは説明がつきません。

女性たちはきっとわかっていたのでしょう。カサノヴァは純粋に自分とやりたいだけだったんだと。しかし、その欲望の対象として自分の肉体を求め、なおかつ女としての悦びを与えてくれる。そこには些細な打算も飾りもなく、ひたすらに快楽を求める無垢な男がいるだけです。そんな男を前にしたら、女性も打算や飾りを捨てて裸になってしまうのではないのでしょうか。

「私は狂おしいほど女性を愛してきた。しかし、それ以上に自由を愛してきた」

カサノヴァに言わるまでもなく、そんなことに気づいていた女性たちは、去っていく彼を恨むことなどしないのです。むしろ、臆面もなく自分の快楽に従い、のびのびと人生を謳歌している、そんなカサノヴァの姿に魅了されていたに違いないのです。


【ジャコモ・カサノヴァ師匠の教え】

打算や飾りを捨て、ただひたすらに快楽を求める。そんな無垢な男の前で、女性の心は裸になる。


(つづく)

 
文責:村上 龍之介
 

バックナンバー
第1回 “色男”への道 序章 〜本当のカッコよさを求めて〜
第2回「“色男”への道」 第1章 「己を貫くダンディ ボー・ブランメル」

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